私とヨガとの出会いは少し一般的なものとは異なるものであったような気がします。本来ヨガにコミットしていく人の多くは、「ヨガによって心身の不調が改善した」という主観的な体験が大きな契機になっている事が多いと私なりに分析しています。
私の場合は幸運なことに元来心身共に健康であるため、ヨガを通じて自分の心身の長年にわたる不調が改善された、という強烈な主観的体験はありません。しかし、妻がヨガにどんどんのめりこんでいく中で、妻の体調が明らかに改善することを目の当たりにして、医師として単純に知的好奇心が触発されました。
ただ、当時の私は水泳やランニングなどを定期的に行っていたため、実際に自分がヨガをするという点に関して必要性を感じることはなく、元気になる妻を一歩ひいた眼で観察していました。
医師として日常診療のなかで、内服だけではどうしても「調子が良くなった」と感じることがむつかしい方々にたくさん接します。
もしかしたら、ヨガは内服では補いきれない不調に対して有効なのではないか?もしそうなのであれば、診療に導入することでより多くの方の健康増進に貢献できるのではないだろうか?この気づきこそが自分がヨガをやり始めた理由です。
しかし、日常診療という限られた時間の中で患者一人一人に対して出来る事に限りがあり、アプローチの仕方として限界を感じることが多々ありました。
より効率的な方法はないだろうか?
より多くの方に関わるにはどうしたらよいのだろう?
集団への指導は個人に対しての指導と同じだけの効果があるのだろうか?
このような事を考えていました。
そうした折、社会医学の概念で健康格差(health gap)、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)というものを学び、孤独(Lonliness)の健康に対する負の影響に興味を持つようになりました。
人と人とのつながりが希薄なコミュニティに介入し、コミュニティ内のかかわりを増やすことで、内部のソーシャルキャピタルが高まった結果としてコミュニティ全体が健康になっていくという、社会医学のエビデンスを知った時に運命が決まりました。
病院の外にでよう。より多くの人にアプローチをしよう。特に社会的孤立状態の方々に対して積極的に関わっていくようにしよう。医療(Medicine)とケア(Care)の専門知識とヨガ(Yoga)を融合させたMEDCAREYOGAでコミュニティの健康増進を勧めよう。
こうして私はヨガの世界に入っていきました。
【経歴】
3児の父。MEDCAREYOGA共同代表。
千葉大学医学部卒業。
順天堂大学精神医学教室で研鑽を積み、現在は都内を中心に訪問診療の精神科コンサルテーション業務を行う。
精神神経学会専門医、指導医/老年精神医学会専門医、指導医/精神保健指定医/産業医/全米ヨガアライアンス認定ヨガインストラクター(RYT200)
Accessible Yoga指導者として、年齢、性別、障害、社会的背景に関わらず「すべての人にヨガを届ける」事を目的に老人ホーム、デイサービス、養護学校などでヨガを通じた交流を重ねている。
娘が斜頭でヘルメット治療を受けたことをきっかけに「ヘルメット治療マーク」を普及させる活動も行っている。
子育てブログ「イクメン精神科医と女医ヨガインストラクター」運営中。