【ストマってなんですか?】

 

 

ストマとはStoma、人工肛門、人口膀胱の総称です。

 

人工肛門、人口膀胱と聞くとなかなかイメージがわかないかもしれません。

 

参考までに癌研有明病院HPのストマについて書かれたページをご紹介しておきます。

 

ストマとは様々な病気を理由に作成されます。(例えば人工肛門は潰瘍性大腸炎、クローン病、癌など)

 

人工肛門とは一時的もしくは永久的に便を肛門からではなく、お腹から排泄するために、

 

手術で人工的に腹壁に穴をあけて(人工肛門)腸管を腹壁に縫い付けて造設します。

 

同様に人工膀胱とは腹壁から尿が排泄されるように手術を行います。

 

ストマは排泄を自己でコントロールできないため、パウチ(袋)等を腹壁にはり、

 

そこに便や尿をためて適宜処理します。

 

ストマを持っている人の事を”オストメイト”と呼びます。

 

服の下に隠れているため中々普段目にすることが無いかもしれません。

 

病状啓発のためのオストメイトマークというものがあり、

 

そちらは恐らく目にしたことがあるかもしれません。

(ご紹介したリンクからフリーでダウンロード可能です。)

 

今日はオストメイトにもAccessibleなYogaをケースをもとに考えてみましょう。

 

 

 

 

【CASE(症例)】

 

 

26歳女性Aさん。

 

10代半ばでクローン病を発症。

 

それ以来様々な内服調整を行ってきたが、消化管のトラブルに悩まされ続け22歳の時に人工肛門造設することとなった。

 

術後現在もクローン病の治療を行いながら、事務員として就労をしている。

 

最近の健康ブームでヨガに興味を持つようになり、

 

本を読んだりYouTubeを見たりしながら見よう見まねで独学でヨガを楽しんできた。

 

そうした中、「心身共にリラックス出来るようになってきた」と感じるようになり、

 

「今度はヨガスタジオで生のレッスンを受けたい」という思いが日に日に強くなってきた。

 

問題はストマ。

 

インストラクターにはなんて伝えたら良いのだろうか?

 

ストマのことを知っているのだろうか?

 

自分に苦手なポースが何で、ストマがある人がヨガをする上でどんなことに気を付けたらよいのかインストラクターの先生は知っているだろうか?

 

周りの人にいちいちストマの話をしないといけないのだろうか?

 

万が一の事を考えて、マットは持参しないといけないのだろうか?

 

様々考えてしまい、悩みは尽きない。

 

しかしある日、意を決して駅前のヨガスタジオに足を運んでみた。

 

 

 

【オストメイトの指導で留意点】

 

 

まず第一に自分(インストラクター)が不慣れてある事を生徒さん(オストメイト)にちゃんと伝えましょう。

 

自分自身がオストメイトであるヨガインストラクターでもない限り、

 

オストメイトの生徒さんよりもストマに詳しいという事は、医療者でもない限りまずありません。

 

その上で配慮してほしい事、現状可能な運動、主治医からの注意事項などを本人から聞きましょう。

 

インストラクターが全てを事前に分かっている必要は全くありません。

 

生徒さんに沢山質問してコミュニケーションをはかっていく、それが大切な作業になります。

 

Aさんに関して上記質問をしたあなたは、Aさんから

 

 

  • ストマのことは内緒にしてほしい点

 

  • お腹に圧をかけたり、過度に腹部を伸展する事は主治医から止められている点

 

  • 無理のない範囲で運動するように、と更に主治医から言われている点

 

 

説明を受けました。

 

これらの点を考慮してあなたは

 

  • プライベートレッスンはどうか?

 

  • もしくはリストラティブヨガクラスから受講してみるのはどうか?

 

との提案をAさんにしました。

 

するとAさんからは、リストラティブよりももう少し身体を動かしたい点、

 

継続的なプライベートは金銭的に苦しい点説明を受けました。

 

そこで、まず一回体験という事で無料でプライベートレッスンをするサービスがあるので

 

そちらを使ってみましょう、とあなたは提案しました。

 

本来体験プライベートレッスンの内容は太陽礼拝などを経験してもらうベーシックコースなのですが、

 

あなたは特別にAさんのためにシークエンスを考えてあげることにしました。

 

 

 

 

【オストメイトに向かないアーサナ】

 

 

当たり前のことですが、自分の身体に語りかけながら痛みを感じるようであれば、

 

無理をしないという点がとても重要になる点をしっかりと説明しましょう。

 

その上で、ストマ増設後の患者は特に、

 

  • 腹部の伸展及び屈曲による腹直筋(手術痕、ストマ造設部)への負荷。

 

  • 傍ストマヘルニア(parastomal hernia)防止のために腹圧を上げ過ぎない点。

 

  • 脱水を起こしやすいので、起立性低血圧を生じやすい点。

 

 

に配慮してシークエンスを考えていく事となります。

 

よってあなたは、

 

過度な前屈、後屈、ツイスト、は避け、バランスポーズを中心として緩やかな内容にしながら、

 

あとはAさんの様子をみて適宜調整していこうと決めました。

 

 

 

 

【オストメイトヨガ】

 

 

以上を踏まえて、シークエンス(例)

 

ストーマのある人はお腹を気にして、

 

あまり体の側面や鼠径部、骨盤周りを動かさないことが予想されるので

 

お腹まわりをほどよく動かすシークエンスを。

 

 

 

 

Theme: Hip movement(骨盤周りを動かす)

 

 

椅子に座って出来るストマヨガの提案

 

 

 

 

①まずはアパジャパ(ただ呼吸を感じる)

 

 

お腹に手を当ててみたり、胸に手を当ててみたり

 

ストーマのあたりにも手を当ててみて。

 

ストーマの周辺は温かいのか、冷たいのか。

 

実際、呼吸するとどんな風にストーマ周辺は動くのか。

 

右の方がよく動く、左の方が暖かい、など何もジャッジせずただ感じます。

 

 

 

 

②完全呼吸(chair)

 

 

吸ってお腹を大きく膨らませて

 

腰のあたりにも空気を送り込んで

 

肋骨の下縁付近、真ん中、上

 

前面/後面

 

(お好みでChanting)

Om

 

 

 

 

③Cat&Cow

 

 

吸って天井と壁の境目付近に胸を向けて

 

吐いてストーマ付近を優しく見つめて

 

(背骨の屈曲進展ストレッチ

 

 

 

 

④Twist(spine)

 

 

左手は左膝の上もしくは右膝の上

 

右手は右のお尻の後ろもしくは椅子の背もたれを掴む

 

吸って背筋伸ばして

 

吐いて右方向にねじる

 

反対側も同様に

 

 

 

 

 

 

⑤太陽礼拝

 

 

 

 

⑥ハイランジ→warrior 2(戦士のポーズⅡ)

 

 

→ reverse warrior

 

→Trikonasana (三角のポーズ)

 

→Prasarita padottanasana(with block) (扇のポーズ、ブロックを使って)

 

 

 

 

⑦バランスポーズ

 

 

Tree pose(木のポーズ)

 

Eagle pose(ワシのポーズ)

 

Dancer pose (ダンサーのポーズ)

※痛みに応じて無理せず

 

 

 

 

⑧前屈系のポーズ

 

 

 

 

⑨シャバアサナ

 

 

 

 

⑩Meditation

 

 

 

 

 

【レッスンを終えて】

 

 

何とかお互いにとって初めてのオストメイトヨガが終了しました。

 

チェアとマットを使った無理のないアーサナをAさんはとても気に入ってくれました。

 

Aさんから、Aさんと同じようにヨガをしたいと思っていても、

 

ストマの事を気にしてヨガスタジオに足を運べない人がたくさんいる事を聞きました。

 

あなたはAさんの協力のもと、ストマがある人を集めたヨガクラスを今度開催することにしました。

 

こうしてひょんなことから始まったオストメイトヨガですが、

 

気づけはあなたは多くのオストメイトと関わるようになっていきました。

 

 

 

【Take Home Message】

 

 

  • ストマをしていてもヨガは出来る。

 

  • わからない部分は必ず本人にしっかり聞こう。

 

  • 一般的にストマ増設後は腹部の伸展及び、腹圧がかかるアーサナは向かない

 

  • 脱水に注意

 

  • 生徒に、自分自身の身体に語りかけ無理のないように、と指導しよう

 

  • より多くの人にYogaをAccessibleにしよう

 

 

【参考文献・資料】

  1. 癌研有明病院HP
  2. 公共財団法人交通エコロジー・モビリティ財団HP